文・写真・yoshii
恵比寿分舎での私の実験的 表現。
光と影、今まで自分の中に入ってきたものを少しづつ表現したい
そんな準備をしている事を 前号でお話しさせて頂きましたが、ここずっと入っているイメージに
日本の伝統芸能 お能がございました。
お部屋の準備をしている時から 頭の中にはああしたい、こうしたいとイメージが
広がるいっぽうで 能楽については今まで深く知る事もなく 表面をなぞった程度の知識、
表したいイメージを追えば追うほど中途半端な知識で表現する事が
とても失礼なような気がしてきました、
そんな思いから 今 お能に取りつかれたかのようにこの世界に足を踏み入れてみました。
能の歴史
約1300年位前 時は奈良時代 中国大陸より伝わりました、
当時は散楽と呼ばれていたそうで唐や宋の大衆芸能だったものが
日本の雅楽などと一緒に儀式用芸能として広まりました。
それが平安時代になると“猿楽”と呼ばれ 民間に広がりをみせ
鎌倉時代にはそれを専門に行う集団(座)があらわれ
もともと猿楽は物真似や道化芸などの寸劇のような形でしたが
揺や舞 物語の要素を中心とする今の能の原型がこの頃出来上がってきたと
言われています。
そして室町時代に入り 観阿弥 世阿弥父子の登場によって
義理人情をテーマにしたより芸術性の高い 観るものを特別な思いに引き込む能へと
形成され伝統として受け継がれています。
この600年以上も当時と変わらない伝統を守り受け継ぎ
愛され続ける魅力はいったい・・・
能楽の歴史から振り返る必要がございましたが、幸いに
興味深いワークショップがございまして参加する機会を頂きました。
梅若能学院会館
梅若幸子さんによる “白洲正子が愛した能 能楽から日本の美を楽しむ”
梅若家の歴史から興味深いお話の数々にそして
能舞台の裏方から特別な能装束まで・・・様々な貴重な体験をさせて頂きました。
こちらの装束は唐織 江戸時代の物だそうです。
そしてあの白洲正子さんのお気に入りだったそうで
とんでもなく素晴らしい織にこの美しさといったら、ため息しかでませんでした。
そしてなんとそれを羽織らせて頂くという もうひっくり返る位 嬉しい・・・
体験付きでございました、
今回テーマの中に出てきた白洲正子さん 女性として14歳で初めて能舞台にたったと
以前何かで知ってから、
私が今回 能のテーマでそれを少女その人で
乙女、天女、羽衣の世界ですね、を作品としてどこまでして良いものなのか、、
歌舞伎と同じようにずっと男性中心の伝統文化としてあったものを
私なんかが簡単に表現してよいものか、、ずっと引っかかっていた部分でした。
探るいろいろな事で 答えが出た訳では無いのですが、
こういった時間が今丁度あると言う事にもご縁だったと思います。
能楽師 川口晃平さんによる能面のお話し
神聖な面の数々、、額に当てた時 その物になりきってしまうが
如く魅力にあふれておりました。
翁(おきな)、尉(じょう)、鬼神、男、女の5種類に大別されます。
私は今回の撮影で小面を自分の許に呼びました。
角度によって見え方が違ってくる面 一つ一つ
特別な魂を感じます。
能面についてはもっともっと
こちらも深く知りたい。。そんな思いで
いつか能面を打ってみたいと真剣に考えております。
さて 今後も能のレクチャー
学びの時間 予定がつまっております。
幽玄の世界
幽玄とは 奥深くて、はかり知れないこと。趣が深く味わいが尽きないこと。
恵比寿分舎で作り出すもの
深く探求したい物です。