古い時間の話
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どうしてこうも古い物に魅力を感じてしまうのでしょう、
物そのものと言うより 経てきた時間を想像する事がとても楽しい。
元の持ち主と自分とはどんな縁があるのだろう。
藤代には沢山の古い小物や建具があります、
その中から 今回はある襖について書こうと思います。
7年前 座間のスタジオがみつかってOPENする運びとなって
自宅から徒歩10分のこの場所に毎朝通うようになりました。
立野台3丁目 西に丹沢の山々を見渡せる高台。
前回お話をした秋葉山古墳群に向かって その景色は本当に素晴しい物でした。
そして この景色を独占しているかのような一軒の平屋の空き家がありました。
広いお庭と玄関には大きな甕があって上品な佇まい、
以前はどんな方が暮らしていたのだろう・・・
その前を通る度に想像をしたものでした。
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何年か過ぎてスタジオが軌道に乗り出した頃
さらにこの場所を借りてウエディング撮影が出来ないだろうか、と
考えるようになりました。
そして そんな計画を少しづつ口にするようになった頃
この空き家が売りに出される事になりました。
最初は古屋付き物件として出ていたようですが、最終的には
何等分かになって分譲地となりました。
いよいよ建物が壊されると言う時に
管理を任されていらした方から全て処分してしまう前にと
見せて頂く機会を頂きました、
その時 そこに暮らされてた方は骨董業を営んでいた老紳士で
10年位前に亡くなったと聞かされました。
骨董業・・私の想像はまさにそんな感じでした、
部屋の中には魅力的なものが沢山あって
残された物を手にとってはその方をまた想像しました、
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そして 部屋の仕切りで使われていた襖
そう この襖絵がありました。
雄々しい山々の絵が描いてあるこの襖
私はこれを頂く事にしました。
勝手な想像ですが 毎日見る庭からの景色を
自ら描かれたのではないでしょうか、、
私が手に入れたアトリエ
このお家のあった数件並びに位置します。
この窓際に飾って一緒に写真に納まる事
5年前 私自身そんな日が来るなんて思いもしなかった、、
お会いした事も無い老紳士ですが
また最近 その方の事を思いました。
喜んで下さっていたらいいな、、っと思います。
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